『イデコは最強の節税手段』
『年利15%の運用手法』
書店で見るイデコ関連の書籍にはインパクトの大きいフレーズが使われていますが、冷静になって考えてみると、『ただ手取りが減って家計が苦しくなるだけ』の場合があるので注意してほしいです
イデコをはじめると最低でも月5,000円手取りが減る
当たり前の話なんですけど、イデコを始めると最低でも月5,000円拠出しなければならないので、手取り収入がそれだけ減ります
しかも、預貯金と違って『原則60才まで引き出しできない』わけですから、あとになって後悔しても正に後の祭り!
ちょっと待って、年利15%の運用手法じゃないの?
年利15%というのは、拠出金を全額所得控除できることから
が、還付もしくは減額になることを刺激的なフレーズで言っているに過ぎません
会社員であれば、所得税は12月の年末調整時に還付、住民税は翌年の7月の給料から控除される住民税額が軽減されることになります
つまり、拠出した月には絶対に戻ってきません
1月に拠出した分は所得税はその年の12月、住民税は翌年の7月になってはじめて恩恵を受けることができるんです
毎月5,000円であればそこまで家計を圧迫することはないかもしれませんが
12,000円、23,000円となるとかなり圧迫することになりそうです
甘い言葉に釣られてはじめてみたが、生活費が足りなくなって借金してしまったでは元も子もありません
もう一つ注意
年利15%の運用方法といっていますが、これはある意味で間違いです
これはあくまでも毎年の拠出金に対して15%の所得税還付、住民税軽減効果があるというだけで、実際に拠出している累計拠出額(=運用資産)に対しての年利回りではありません
下の表を見てください
年間拠出額 | 累計拠出額 | 15%効果 | 15%効果累計 | 年利回り | |
1年目 | 120,000円 | 120,000円 | 18,000円 | 18,000円 | 15% |
2年目 | 120,000円 | 240,000円 | 18,000円 | 36,000円 | 7.5% |
3年目 | 120,000円 | 360,000円 | 18,000円 | 54,000円 | 5% |
4年目 | 120,000円 | 480,000円 | 18,000円 | 72,000円 | 3.75% |
累計拠出額に対する年利回りで見た場合には、どんどん下がっていくのがわかりますか?
(※運用資産での利回りは考慮していません)
単純に『節税効果(ここでは15%と想定)÷拠出年数』でおおよその年利回りは計算できそうです
例えば、拠出年数が20年であれば年率0.75%、30年であれば年率0.5%、40年であれば年率0.375%となります
さらに、毎月拠出額に対して国民年金基金連合会等の手数料が最低でも167円かかるため、利回りはさらに下がります・・・
まとめ
どうでしょうか?
『毎月の生活費が減って贅沢できなくなる』
『実は年利15%ではなく、年利0.5%程度の投資法』
これだけ見るとイデコをはじめる人が減ってしまいそうです
しかし、これは節税効果だけで見た場合です
これ以外に『運用益非課税』『受取時の税制優遇』というメリットもあります
これらのメリットも複合的に考える必要があります
また、将来的な資金繰り(≒ライフプラン)を考慮しない破綻しちゃうよということです
《結論》
節税効果だけに釣られてイデコをはじめちゃダメ
ほかのメリットを確認し、将来の見通しを持ってはじめよう!