2017年ノーベル経済学賞受賞!リチャード・H・セイラー教授の業績・著書・そしてAMも!?

みなさん、こんにちは、やぐまです

2017年ノーベル経済学賞がリチャード・H・セイラー教授に決まりました!👏

セイラー教授は『行動経済学』の権威で、ノーベル賞選考委員会は『経済学と心理学の橋渡しをしたこと』が大きな貢献であると評価しています

私は、大学で経済学をかじって、銀行員として運用部門に携わるころから「行動経済学」に興味を持って色々な本を読んでいました

そもそも、経済学は「全ての人が合理的な判断を瞬時に下すことができる存在」として成り立っている学問でして、それが長く支持されていたんですけど、今回受賞が決まったセイラー教授や過去にノーベル経済学賞を受賞したカーネマン教授などは「人は非合理的な判断をたびたび下すために経済学モデルは崩れる」と提唱し、行動経済学として研究を続けています

人は、どうでもいいことに固執してしまったり、非常に重要なことを見逃してしまったりして、合理的な判断はできていないものです

そのような人間の生の判断・感覚に近い行動を分析している学問です

個別株投資をしていると、行動経済学は非常に納得のいく説明をしてくれます(だからといって私の個別株投資が成功しているかというとNOですが・・・)

金融マーケットに一時身を置いていた者としては、自分の知っている分野で受賞者がでるのは勝手に嬉しくなってしまい、記事にしてみました

私は評論家でも実際に研究している研究者や学者でもないので、あくまで一個人の考え方、インターネットにある情報をまとめてみたものですので、詳しい方のご指摘等ございましたらTwitter(@yahgooma_re4gl)までよろしくお願い致します

セイラー教授の業績

Nudge(ナッジ)理論

nudgeとは本来「肘で相手をつついて、何かを知らせたり、何かをさせたりすること」の意味です。

セイラー教授のナッジ理論は、「行動主体に何かしらの情報を与えることで、特定の行動を取らせるように仕向けること」です

例えば、コンビニなどでよく見られる『テレビで紹介されました』というようなPOPは、このナッジ理論を使っていると言えます

一般的な商取引だけではなく、政府がより好ましい決定を個人が行ってくれるようにするために節電の促進や肥満防止といった分野でナッジ理論を使っているそうです

アメリカでは、リバタリアンと言われる個人の選択の自由を尊重する考え方が強く、政府にあれこれ規制されたり指示されるのを嫌う風潮があるそうです
そのような人たちに「個人の選択の自由」を尊重させながら、政府が好ましいと考える選択を行ってもらうという難しい課題を解決する一つの手段としてナッジ理論が注目され、実際に活用されているそうです
詳しくは以下の著書(原題:Nudge: Improving Decisions About Health, Wealth, and Happiness)をどうぞ

勝者の呪い

勝者の呪いとは、例えば「オークション」で商品を高値で落札した人が、その喜びからみずからを『勝者』と感じるが、経済学的には、合理的でない価格で購入しているという行動を指します

本当は「安くブランド品を購入したい」という目的でオークションに参加するのに、何度も入札を繰り返すうちに「このブランド品を自分のものにしたい」とい気持ちや「ここまできて今更諦められない」というような気持ちに駆られてしまい、結局、高額で購入してしまうという事例ですね

経済学モデルは、そのような行動は起こらない(全ての人は合理的な判断を瞬時に下すことができるので、ある一定の価格以上になったら入札しなくなるはず)のですが、実際にはむしろそのようなケースの方が多いのかもしれません

詳しくは以下の著書(原題:The Winner’s Curse)をどうぞ

メンタル・アカウンティング(心の会計)

上記のような、経済行動における非合理性は、メンタル・アカウンティング(心の会計)が影響している部分があるということの証左とも言われています

大阪大学大学院の安田洋祐准教授は

セイラー氏の研究について「人間にはお金の使い方を自分の心の中であらかじめ決めて、使い方の枠を設ける『心の会計』が存在すると明らかにした」
出典:NHKニュース

と述べています

セイラー教授の著書(邦訳版)

セイラー教授の著書については、上記で紹介した2冊の他に、2015年発刊(邦訳版2016年発刊)のThe Making of Behavioral Economics(邦題『行動経済学の逆襲』)があります

実はアセットマネジメント会社の創立者でもある

金融マーケットに興味あるものとして見逃せないのが、セイラー教授はアセットマネジメント会社の創立者でもあるということです

セイラー教授がどの程度参画しているのは不明ですが、会社名に入っているぐらいなので、なんらかの関係があるのでしょう
完全に英語ページなんで、よくわかりませんけど、行動ファイナンスに基づいて米国小型株に投資するスタイルのようです
設立が1993年となっているので、一応、20年以上の運用実績のある会社みたいです
ノーベル経済学賞受賞者とファンドっていうと、マイロン・ショールズとLTCMの話が想起されるのであんまりイメージよくないですけど、今後、流行に乗ってこうゆうファンドが増えてくるかもしれませんね

最後に

行動経済学って、様々な実検証を繰り返して導かれている理論なので、個人的には非常に納得がいくものが多いです

今、日本はAI投資が非常に注目を集めていますが、今回のセイラー教授のノーベル経済学賞受賞で、日本の金融マーケットでも再度注目される可能性がありますね!

『行動経済学の逆襲』となるか注目していきます!