まさに、激闘の名にふさわしい一戦でした。
私も第3セットの途中からテレビの前に座り込み、応援していました。
もちろん、錦織圭選手の勝利を願っていたわけですが、対戦相手のカレーニョブスタ選手のプレイも素晴らしいものがありました。
正直、幾度も錦織選手が負ける!と思いましたし、絶体絶命、断崖絶壁、蜘蛛の糸を手繰るようなシーンばかりでした。
最終第5セットでは、錦織選手がワンブレークアップでサービスゲームをキープすれば勝利という場面でカレーニョブスタ選手にブレークを許し、終わったなと思いました。
『こうゆうところを直さないとグランドスラムは勝てないんだよ!』と一人前の解説者のように吐き捨てていました。
さらに、第5セットのタイブレークでは、これまたカレーニョブスタ選手にリードされ、半分諦めていましたが、そこからの5連続ポイントという離れ業!しかも、最後はサービスエースというおまけ付きで感動に打ち震えました。
第5セットのタイブレークに起こった疑惑の判定とは?
そんな、第5セットのタイブレークカレーニョブスタ選手の8−5という場面で事件は起こりました。
なにやらカレーニョブスタ選手と主審が揉めています。
この時点では何が起こっているのか私にもわかりませんでしたが、結局、ポイントが錦織選手に入り8−6に。
その結果に猛抗議を続けるカレーニョブスタ選手。
このポイントを皮切りに錦織選手が5連続ポイントとなったわけですが、最後の最後に大きな山場がきたという印象でした。
試合後のインタビューや解説では詳しく語られなかったので、ちょっと調べてみました。
- ネット際のプレーでカレーニョブスタ選手が際どいクロスを打ち、ラインにかかったかどうかのバウンド
- それに対して、やや遅れて線審の「アウト」の声
- 線審の声とほぼ同時のタイミングで錦織選手がレシーブしコートにイン
- カレーニョブスタ選手はボールを打ち返すことなく、主審の方へ
という流れでした。
この時カレーニョブスタ選手が、線審のアウトの判定に対して、チャレンジ(判定が微妙な際に選手が要求し、コンピューターにより判定をやり直すルール)し、結果「イン」の判定となりました。
つまり、カレーニョブスタ選手のショットがアウトという判定がインとなったわけです。
カレーニョブスタ選手のショットがアウトだった場合には錦織選手にポイントが入りますから8−6になりますが、インの判定になったわけですから、本来、カレーニョブスタ選手のポイントとなり、9−5となっていたと思われます。
しかし、主審は錦織選手のポイントとのコールで8−6からスタートさせました。
テニスの試合を観戦していると、アウトと判定されたボールをラケットを使ってボールボーイ、ボールガールにひょいっと渡すシーンがあります。
つまり、「アウトと判定された後のプレイは無効」であると考えられます。
そう考えると、今回の判定は完全に誤審です。
実は、カレーニョブスタ選手がネット際でクロスを打った際にあまりにも鮮やかなショットだったため、一瞬「ワッ!」と会場が沸きました。その後に線審の「アウト」をコールしているんですが、テレビでは声がはっきりと聞こえているんですが、もしかしたら、会場の歓声とかぶって主審には「アウト」の声が聞こえていなかったのかもしれません。
8−6から明らかにカレーニョブスタの集中力が切れてしまった
今回の全豪オープンからは、第5セットのタイブレークは10ポイント先取ルールが採用されました。
これまでのタイブレークでは、「相手に2ポイント以上の差をつけて7ポイントを取る」か「6ポイント以上で2点先取」した方がセットを取れるというルールでした。
このルールだと「23−21」といった『いつ終わるんだこの試合。。。』ということが稀ではありますが起こり得ました。(ちなみに過去には70−68というとんでもない試合もあったとか。。。)
選手への負担軽減や試合時間の短縮といった面では効果があると思います。
閑話休題
今回は、疑惑の判定があったにせよカレーニョブスタ選手が8−6でリードした状態で、しかも有利なサービスは残っているという状況でした。
もちろん、9−5であれば、自分のサービスをキープするだけなので、もっと有利な状況であったのは明らかですが、それでも10点先取のタイブレークという状況で見れば、残り2点のカレーニョブスタ選手と残り4点の錦織選手では数字以上にカレーニョブスタ選手が有利だったと思います。
切り替えろ!というのは簡単ですし、選手にとって酷な話ですが、錦織選手は非常に冷静に見えました。圧倒的に不利な状況でも自分にできるベストなショットを撃ち続け、結果勝利を手にしています。
思えば、第5セットワンブレークダウンの状況でブレークした時から、カレーニョブスタ選手は入れ込み過ぎていたようにも見えました。
タイブレーク中も自分を鼓舞するためか、大きな声とガッツポーズを繰り返していました。
すべてのスポーツに言えることですが、メンタルがいかに大事かを見せつけられた試合だったと思います。
誤審を防ぐためのルールであるにも関わらず、誤審を招いてしまったことは反省すべき点だったと思いますし、そこも冷静に判断するメンタルが主審に必要だったのかもしれません。
まとめ
今回のケースは、振り返れば『誤審』と言えると思いますが、その結果を受け入れられなかったカレーニョブスタ選手のメンタルが招いた敗戦でした。
しかし、負けてしまったとはいえ、素晴らしい試合をした選手であることには変わりありません。全豪オープンには沢山の日本人が応援に駆けつけているようで、錦織選手にとってはホームのような雰囲気で試合が行われていました。
そんな中でも、素晴らしいプレー、ショットを繰り出し続けたカレーニョブスタ選手は本当にエクセレントなプレーヤーだと思います。
今後、応援したい選手の一人になりました。次のグランドスラムでの躍進を期待します。