- 第5問
- 解答のポイント
- ア.物品のファイナンス・リース契約を締結し、使用を開始した。当該リース契約は、所有権移転ファイナンス・リースに該当し、物品の取得原価相当額は8,200,000円である。
- イ.保有する建物(取得原価15,000,000円、減価償却累計額12,000,000円】を3,400,000円で売却した。
- ウ.地方特例交付金として、国より10,000,000円受け取った。
- エ.前年度以前に発行していた地方債9,000,000円を償還した。また、次期に償還予定の地方債5,000,000円を固定区分から流動区分に振替えた。
- オ.当期において、建設中であった建物が完成したため、建設仮勘定に計上していた20,000,000円を本勘定へ振替えた。
- 収入と支出を合算する
- 解答のポイント
- まとめ
第5問
資金収支計算書への影響額を計算する問題です。
第4問と同様に、取引内容を的確に「仕訳」処理することができるか?がキモです。
問題文には、「資金収支計算書における業務活動収支、投資活動収支、財務活動収支の集計額の純額である点に留意すること」と記載されており、戸惑ってしまいますが、要はお金が入ってきたのか(=収入)、出ていったのか(=支出)がわかればいいのです。
解答のポイント
各取引を「仕訳」処理してみるのですが、ここでは『お金の出入りがあるかどうか?』に着目しましょう。
ア.物品のファイナンス・リース契約を締結し、使用を開始した。当該リース契約は、所有権移転ファイナンス・リースに該当し、物品の取得原価相当額は8,200,000円である。
最初から少しイジワルな問です。
実はこれ、お金の出入りがありませんので、無視していいのです。
現実には、リースの使用を開始すれば、月額や年額などでお金を払うことになるのですが、問題文にはお金を支払った旨の記載がないので、「資金収支計算書」とは無関係になります。
イ.保有する建物(取得原価15,000,000円、減価償却累計額12,000,000円】を3,400,000円で売却した。
この問でも、取得原価や減価償却累計額などが出てきますが、難しく考えず、建物を売却してお金が入ってきているので、「収入(3,400,000円)」と考えればいいのです。
念の為、仕訳を考えると以下のようになります。
借)減価償却累計額 12,000,000 / 貸) 建物 15,000,000
資産売却収入 3,400,000 / 資産売却益 400,000
ウ.地方特例交付金として、国より10,000,000円受け取った。
これも、難しく考えず、お金が入ってきているので「収入(10,000,000円)」でOKです。
借)税収等収入 10,000,000 / 貸)税収等 10,000,000
エ.前年度以前に発行していた地方債9,000,000円を償還した。また、次期に償還予定の地方債5,000,000円を固定区分から流動区分に振替えた。
これは2つの取引がありますが、実際にお金が動いているのは1つ目だけです。2つ目は単に財務書類上の記載する場所を替えただけですので、お金が動いていないのに注意です。
地方債の償還は、借金の返済ですから、お金が出ていってます。
よって、「支出(9,000,000円)」と考えればいいですね。
ちなみに仕訳をみてみると、以下のようになります。
借)地方債等償還支出 9,000,000 / 貸)地方債 9,000,000
2つ目は、以下のようになります。
借)固定負債−地方債 5,000,000 / 貸)流動負債−地方債 5,000,000
オ.当期において、建設中であった建物が完成したため、建設仮勘定に計上していた20,000,000円を本勘定へ振替えた。
これも、アやエの2つ目と一緒です。
お金が動いていますか?
動いていないので、この取引自体は無視して大丈夫です。
借)建物 20,000,000 / 貸)建設仮勘定 20,000,000
収入と支出を合算する
取引内容から「収入」と「支出」を抜き出せばOKです。
収入は、イとウですね。
イ.収入(3,400,000円)
ウ.収入(10,000,000円)
支出は、エ だけですね
エ.支出(9,000,000円)
あとは合算すればいいだけです。
収入13,400,000円ー支出9,000,000円=4,400,000円
よって解答は「5.4,400,000円」となります。
まとめ
各取引の「仕訳」処理を完璧にしておくに越したことはありませんが、今回の問題のように「資金収支計算書」へ影響を与える金額を計算するだけであれば、お金が入ってきたのか出ていったのかに着目するだけでOKです。
通常の簿記では「現金預金」で処理するところを、地方公会計では「〇〇収入」とか「■■支出」といった科目にして、より細かくお金の動きを把握することにしているのです。
通常の簿記に慣れている人は「面倒くさい」と感じるかもしれませんが、これもルールですから、覚えていきましょう!